Blackmagic Fusion で作る花火動画。解説つき。 全部説明するとキリがないので、花火の生成・光効果・水面反射に絞って解説します。あとはプロジェクトファイルを見て。
Particleで花火を生成
この二重になっている花火を生成します。芯物といいます。
pEmitter で生成した 1 particle が一発の打ち上げになり、pSpawn で爆発・粒子を生成します。 まずは打ち上げと外側黄色の爆発と黄色の粒子を生成。 打ち上げ pEmitter (YellowGreenEmitter) の Angle を90度にして真上に飛ぶように。 爆発 pSpawn (YellowExplosion) の Angle を360度、Angle-Z を180度に設定して球状に四散。 さらに pSpawn (YellowTrails) で尻尾になる粒子を生成。
※ Time Lock は必ずONにしましょう。OFFだと再生のたびに乱数結果が変わるので、このような動画には向きません。Randam Seed は気に入った再生結果が得られるまでひたすら Reseed します。
それぞれの particle set を設定します。 YellowGreenEmitter: Set1 YellowExplotion: Set2 YellowTrails: Set32 (Set32は、他の粒子でも使い回します)
pSpawn の Conditions を設定します。 爆発 (YellowExplosion) pSpawn は、前段 pEmitter の Lifespan が切れるタイミングで発動してほしいので、Start Age を0.99に設定。効果対象を Set1 のみにします。 粒子 (YellowTrails) は打ち上げと爆発両方に作用してほしいので、効果対象を Set1 Set2 に設定。消えゆくさいには尻尾を無くしたいので、End Age を 0.8 に。
各 Style を設定。色はお好みで。 爆発の Color over Life を、最初白にしてから直後に目標の色に変更させることにより、爆発時の白飛びの様な効果が得られます。 Size over Life を最初大きくするのも同様の効果を得るためです。その後増減させキラキラ感を出し、最後にゆっくり消えゆくようにします。 Fade Out を 0.9 にして消えゆく花火の儚さを。
※ Color over Life を途中で色が変わるようにすれば、色が変わる花火を生成できます。
pEmitter の Region を背景画像にあわせて打ち上げ場所を設定します。この例ではお台場鳥の島。
次に内側緑の爆発と粒子を作成。 YellowExplosion と YellowTrails のインスタンスコピー GreenExplosion と GreenTrails を作成します。
GreenExplosion は内側の爆発になるので、Number と Velocity を Deinstance して数値を下げます。
GreenExplosion を Set3 にし、GreenTrails の対象を Set3 のみにします。 GreenTrails の生成 Sets は 尻尾粒子共通ですので Set32 ままにします。
GreenExplosion と GreenTrails の Style 色を変更すれば生成部は完成。
自然現象を再現して動きをコントロール
空気抵抗・重力・ブラウン運動・風を作成します。全部嘘です。
空気抵抗 pFriction は、充分小さい尻尾粒子とそれ以外とで効果を分けるため、AirFriction と AirFrictionTrails を別々に作成します。 AirFriction は対象から Set32 を除外し、AirFrictionTrails は 対象を Set32 のみとし、AirFrictionTrails の Friction 値を小さくします。 ※ Spin は使用していない
重力は下方向への DirectionalForce です。 これも、充分軽い粒子には重力効果が無視できるため、Set32 を除外します。 ※ Set31 は爆発時の煙に使用しています。説明は省略。
ブラウン運動は pTurbulence です。 水平方向 (X-Z) を大きめにすることで動きにそれっぽさが出ます。全 Set に適用。
風は横方向の pDirectionalForce です。 Streangth と Direction Z を Perturb で適当にゆらゆらさせます。 ForcePurterb の Value を増やせば強風に、DirectionPerturb の Value を変更すれば風向きが変わります。
光効果
素のままだととても地味なので、光っている感を出します。
Highlight と SoftGlow は説明を省略。
Flash は爆発を派手にする SoftGlow です。 Threshold を上げて効果範囲を限定することで、爆発時のみ光を広くまきちらかすようにします。数値は感覚で。
Trails で残光を作りカメラセンサーっぽい映像にします。 ただし、Trails をそのまま適用すると画面がやましいので、素の映像に Trails を適用し、光効果を当てたものに Hard Light merge することでほどよい効果が得られます。
水面反射
水面反射は単純な面反射なので、カメラを面対象に配置すれば鏡像を得られます。
メインカメラのインスタンスコピーを作成し、Expresssion でY軸とX,Z回転を反転します。
これで鏡像は得られましたが、このままでは水面以外でも反射しているので、水面部のマスクを作成します。 通常であればPhotoshopなどでマスク画像を作成するところですが、ここでは Fusion の演算だけで生成してみます。
ラプラスフィルターで輪郭を抽出、Erode, Defocus で領域を拡大、BrightnessContrast で数値を平滑化、ChannelBooleans で Alpha mask 化。 という流れです。
これをMatte object として 3D 空間に配置することで、鏡像に対して水面マスクをかけた映像が得られます。
最終合成
このプロジェクトファイルでは、地面映像・花火映像・反射映像の3つにわけて3Dレンダリングし、花火映像と反射映像を合成して光効果をかけ、地面映像に合成。というフローをとっています。
このように、ちょっと設定を変えながら複数ラインで映像を作るというのが Fusion は非常に得意です。是非使ってみてください。https://www.blackmagicdesign.com/jp ※ Fusion は現在 DaVinci Resovle 内に統合されています。