劇場で2回見ました。とても面白かったので、まとまり無くつらつら書きます。
盛大にネタバレします。
公式サイト https://ainouta.jp
AIのある世界
現実世界でAIが普及し始め、近い将来AIで何ができるかというのが体感としてなんとなく理解できる世の中になりました。そんな中で描かれる本作の近未来AI観は非常に秀逸です。
田舎(佐渡ヶ島)が実験都市として選ばれていますが、都会はなんだかんだでマンパワーで解決出来てしまうため、AIはどこか補助的な役割になってしまいます。これが田舎では、現在直面している問題を解決する手段として有効に機能します。
そのため、AIに合わせて作られた町ではなく、既存の町にAIをぶち込んで即戦力とするにはどうするか、という町づくりになっています。
法整備の遅さにブチ切れて町をまるごと開発しようとしているトヨタの苦労がしのばれ、実に哀愁漂う絵作りです。オタクらしく細かいとろに目を配って見ましょう。
バスを自動運転するロボ
うんうん、自動運転バスを1から開発するより費用・時間面で有利だよね。即応力としてはアリだよね。でも実際にちゃんと制御できるロボットを開発するのは結構大変で、結局優位性は無さそうなあたりが実験都市。
人が操作するものを人型ロボットで自動化することのメリット・デメリットはそれなりに議論された領域なので調べてみると面白いです。
田植えロボ
そこは農耕機を自動運転するロボじゃないのかよ!とツッコミを入れたくなるが、農耕機が入れない山間部の田を想定しているのか、手植えブランド米として売ることを考えているのか、ロボットが人々に受け入れられるためのマスコットを目指しているのか。
汎用人型に見えるからアピール用だろうか、どこかからの転用だろうか。田んぼの泥から可動部を守るのは大変だぞ。
山間部での田植えといえばエヴァ𝄇のそっくりさん。あの米、食べたいだろ?
AIがどんなに普及しても、人が感じる価値観なんてものは感情的要員であることに変わりはないと思う。そんな田植えのシーン。
垂直風車
うんうん、山間部の多い日本ではソーラーパネルより垂直型風車だよね。わかるよ。
ダリウス型が主流として描かれていますが、私はサボニウス型が好きです。
サボニウス型を電飾しても派手さに欠けるなんて言うなよ、いいじゃんサボニウス。分散協調型AIシステムの電力源として有能ですよサボニウス。現実世界ではいまいち普及しないな。
Mac Pro(ゴミ箱)
何度も描写されるのでキーアイテムになるのかなという予感をさせつつ、フェイクゴミ箱として見事に活躍。次回作でおろし金 Mac Pro の活躍なるか。
このシーンで笑っている奴は業界人だ、気をつけろ。
母親という存在
基本的に明るく前向きな本作の中で、一番異質な存在が主人公の母親美津子。
娘に対してはどこか距離感があり、起承転結の転とはいえ酔って荒れているシーンは結構な恐怖である。人によっては過去のトラウマをえぐられる描写だろう。
脚本家のコンプレックスが出ているようでここだけ妙に生々しく、AIの感情というテーマで作品を書き続けている理由もそこだろうかと思ってしまう。
これは百合なのか
私は百合豚なのでこの作品でも百合成分は十分摂取できますが、百合作品として作られているわけではありません。
シオンの願いはサトミを幸せにすることであって、自分と(が)幸せになることではなく、その願いの元となっているのは男の願いです。
しかし百合界の偉大な先駆者であるカードキャプターさくらの知世がその可能性を示したように、激重感情自己犠牲精神からくる相手の幸せを最大限願うその姿はまさしく百合なのです。
カメラで常に追っている行動などはまさに知世ですね。
明るい攻殻機動隊
海外でのAIを題材とする作品は、かなりの割合で負の側面を強調してきますが、日本では前向きに描く作品が多いです。これは鉄腕アトム・ドラえもんの影響が大きいと言われています。
そして本作も表面上はAIが健気に人を幸せにしようとがんばる王道ストーリーなわけですが、やっていることは制御不能のAIによるネットワークとコンピュータへの侵入で、事態は結構深刻です。
冒頭のCGグリグリを緑にしたら攻殻機動隊。終わりにネットは広大だはでやっぱり攻殻機動隊。
急に歌うよ~♪
SFミュージカルを標榜しているので急に歌い出します。
私はミュージカル作品というものに抵抗はないのですが、だからといって馴染みがあるわけでもないので、ミュージカル作品だから見に行こうという動機にはななりません。劇場での予告編を何度も見ていたけど、正直まったく惹かれるところは無かったわけですが、それでも見に行くきっかけとなったのは、レビュースタァライトにどはまりしている某総帥のTwitterがきっかです。見て良かった。
Vivyも歌っていたな
AIが歌うといえば最近の作品ではVivyです。
こちらも非常によくできた作品でしたが、AIに関する描写で言えばVivyのほうが突っ込みどころ満載です。アイの歌声を聴かせても序盤は丁寧にAIと共存する世界を描いておきながら、後半はガバガバ設定で話が進みます。しかしそんなことはどうでもいいのです。どちらもとても楽しい作品なのだから。
みんな見てね
AI過渡期の今だからこそ劇場で見る価値のある作品だと思います。
今日も!元気で!頑張るぞ!おー!!
いってらっしゃいノシ https://ainouta.jp